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第23話
「赤い月が、味方をしてくれる」
「月が」
赤い月を背景に、健の髪がざわめき始めた。
いや、猛烈な勢いで、伸び始めているのだ。
半袖のシャツから見える腕も、白金の毛で覆われてゆく。
耳は大きく尖って天を向き、眼は赤く光り輝く。
鼻づらが前に伸び、口が大きく裂ける。
「じ、人狼……!」
「その通り」
健は、荒々しく服を脱いだ。
体中が長い毛で覆われ、獣そのものだ。
「行くぞ、吉乃」
「は、はい!」
吉乃は健に手を引かれ、宙を飛んでいた。
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