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第24話
見たくもない、江頭のマンション。
彼の部屋の前で、吉乃は困惑していた。
(葉月さん、江頭さんを『狩る』っていってたけど)
まさか、殺しまではしないよね、と不安になっていた。
完全にシャットアウトされているはずのドアを、健と吉乃は通り抜けた。
健の手のひらがドアに触れると、するりとドアの向こうへ体が送り込まれたのだ。
初めての感覚に、吉乃は驚いていた。
「赤い月のおかげさ」
狼面でウインクをした後、健は打って変わって恐ろしい吼え声を上げた。
「江頭 剛。お前を狩りに来た!」
何だ、と江頭は振り向いた。
振り向いて、眼を見張った。
毛むくじゃらの化け物が、そこに立っていたからだ。
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