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第25話

 鉄壁のセキュリティをくぐってここにいる以上、悪友のドッキリでも何でもない。  本物の、侵入者だ。 「何だ、お前はァ!」  本能で、江頭は健にタックルを仕掛けていた。  ラグビー強豪校に、特待生で入学したほどの江頭だ。  その痛烈な当たりに、健は後ろに吹っ飛ぶかと思われた。  だが、ぴくりともしない。  押しても押しても、まるで動かない異形の訪問者に、江頭は焦った。  ならば、とキッチンから包丁を引っ掴んで来て、力任せに切りつけた。  しかし、ぱきん、と乾いた音を立て、刃は折れてしまった。 「あ、ぅあ。あぁあ!」  江頭は、恐怖の悲鳴を上げていた。  けだものは、ゆっくりとこちらに歩いて来た。

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