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第26話
「ぎぃあぁあ! 痛ぇ! や、やめッ! んぐぁ!」
人狼の姿の健に深々と貫かれ、江頭は絶叫していた。
「どうだ? 犯される気分は」
「頼む! や、やめ……、あぁ!」
「完全防音のマンションか。こいつぁいいや」
「ひ、ひぎぃいい!」
涙を、洟を、涎を垂らしながら泣き叫ぶ江頭を、吉乃は硬直して見ていた。
『大丈夫。赤い月の加護で吉乃の姿は見えないから』
そう言って、健は吉乃を狩りの現場へ連れて来た。
まさか、こんな展開になるとは思ってもみなかったが。
(僕の痛み、思い知ったか!)
そう思ったとたん、健が吉乃の方を振り返った。
は、と眼を逸らす吉乃。
そんな吉乃を、健は手招きした。
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