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「さてと……」
英治は歩き出した。今いるこの部屋は、とても物が溢れており、彼の感覚としては散らかっている認識である。他の部屋はどのようになっているのか、一応確認しておこうと思っている。
「どこ行くの?」
「まずはキッチンだな。料理は毎日するから、使えないなら最優先で片付ける」
「ふ~ん」
興味なさげな史智の返事に、これは散らかっているな、という予測をする。
部屋を出ると、キッチンとリビングが一体化した部屋が広がっていた。そして必要なものと汚れたものがぐちゃぐちゃに散らかっていた。
予想を裏切らない状態に、英治から盛大な溜め息が漏れる。
「この家、あと何部屋ある?」
「あと一つかな。あ、そこにはほとんど入らないから物はないよ」
あっち、と廊下の方を指で示す。
そこには三つのドアがあり、うち二つはトイレと洗面所だった。それらは日常的に使っているせいか、英治はすぐに掃除をする必要はないと判断した。
残る一つの部屋。ゆっくりとドアを開ける。
本当に使われている様子はなく、掃除機がポツリと置かれている。
「掃除機はたまに使ってるから動くはず。あと、この部屋を英治に貸すよ。好きに使って」
「そうさせてもらう。だが、この部屋を掃除するのは後だ。先にキッチンだ」
「そんなにキッチンにこだわる? 別に……」
「俺は食うに困るのは嫌だからな。それに、汚いのもごめんだ。あんたもやることないなら手伝え」
「はいはい」
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