19 / 35

第19話

 元旦、満と伸彦は初詣を終え境内を歩いていた。 「満は、何てお祈りしたんだ?」 「宝くじで伸彦の人格が変わってしまいませんように、って」  ははは、と笑う伸彦は能天気そのものだ。 「そんなわけ、ないよ。俺は、俺さ」  昨日、セスナ機買って遊びでフライトする、っていったくせに!  満の胸の内は怒りや悲しみ、やるせなさで溢れそうだった。  しかし、ここからだ。  今から、伸彦を正道に戻して見せる!  決意を秘め、満は話を持ち出した。 「今から、伸彦の家にお邪魔してもいいかな?」 「いいぜ。父さんと母さん留守だから、お年玉は出ないけど」 「お年玉目当てなんかじゃ、ないよ」 「俺が、お年玉あげようか!」 「い、ら、な、い!」  じゃれ合いながらも心は引き締め、満は伸彦宅へ向かった。

ともだちにシェアしよう!