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第27話

 再び三ツ矢が目を開くまでの時間は、わずか3秒程度だっただろう。  だが、伸彦と満にとっては、果てしなく長いものに思われた。 「いまさらではあるが、これまでの模様は全て光の国の議会へとライブ配信されている」  そして、と三ツ矢は微笑んだ。 「7対5で、可決。内藤、お前の案は通ったぞ」 「やった……」 「伸彦」  だが、と三ツ矢は残りのみかんを口に入れ、ゆっくり食べてから伸彦に言った。 「僅差だったことを忘れるな。今後お前が道に背けば、容赦なく青鹿は帰還させられる。高校卒業まで、私はお前の担任教諭だ」  この目でしかと、見張っているぞ。  そう眼を剥いて見せた三ツ矢は、そのまま立ち上がった。 「ミチルはこれまでどおり、内藤の正道を見守ることだ。何事も無ければ、18歳過ぎた後も任を解かれることはない」 「何事も無ければ、って」 「そこの男が心変わりをして、お前を愛さなくなった時は私の元へ来い」  慰めてあげよう、と意味深に笑った後、三ツ矢は鏡の中へ来た時のように消えて行った。

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