29 / 35

第29話

 気持ち悦く満に口を預けながら、伸彦はゆったりと、時には手際よく彼の服を剥いでいた。  キスに夢中の満は、伸彦に全てをゆだねている。  満の身体を晒し、伸彦は吸い付くようにきめの細かいその肌を手に味わった。 「すげぇ。すべすべ」 「ね、伸彦。早く……」  口を離して息を弾ませ、ねだるようになったのは、胸の乳嘴を苛めるようになってからだ。 「俺のキス、ここに欲しい?」  こくり、と無言で頷く瞳はすでに潤んでいる。 「でも俺の口は、満にキスされててお留守です~」 「意地悪なんだから……」  ため息交じりの、切ない物言い。  伸彦は、負けた、と思いながら満の胸元に唇を寄せた。 「あぁ……」  口に含むと、溜息が漏れた。  首を振り、髪が散る。

ともだちにシェアしよう!