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第30話

「あ、やだッ! 伸彦、両方一度になんて聞いてない!」 「言ってもないけど、イヤ?」  四つん這いの獣の姿勢で、前と後ろを同時に責められ、満は身悶えた。  嫌ならやめる、と本当に手を止めてしまう伸彦が意地悪だ。 「嫌だけど……、試してみてもいいよ」 「では、お言葉に甘えて」  経験豊富なのは、僕だけじゃないらしい。  きっと他の子たちとも、こんな風に遊んでいたに違いない。  いやらしく蠢く伸彦の手が、指が癪だ。  それでも快感の方が勝っていた。  はしたなく声を上げ、息を荒げ、腰を振る自分が恥ずかしい。 「やぁッ! ダメ、もうダメ……。伸彦、あッ、あんんッ!」 「これからが本番だぞ」  満の体内から、伸彦の指が去った。  これから何が来るのか、充分解かりきっている。  ただそれにわずかな怯えと大きな期待を持って、満は息を弾ませていた。  そしておとなしく、仰向けになった。

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