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守る人、守られる人2

「んっ……」 「あ、目が覚めました?」 「ここは……」 「南雲組ですよ」 その名前を聞いた途端に、ぼんやりしていた頭が一気に覚めた。 どうやらあの後俺は、南雲組に捕まってしまったらしい。 身体を動かそうとするが、手足が縛られているせいで起き上がることも出来ない。 この俺が、絶体絶命という状態だ。 「テメェ……」 「言ったじゃないですか。楽には死なせないって」 周りには数人の男達。その手にはバットに鉄パイプ、そしてナイフもある。だが銃だけ見当たらない。成程……確かに、簡単に殺すつもりはないようだ。 「さてと。じゃあまずは、軽く遊びますか!」 涼夏の言葉を合図に男達は俺を囲みこむと、今までの鬱憤を晴らすかのようにひたすら俺を殴り続けた。 「オラッオラッ!!」 「あはは!!まさかあの北条をボコボコに出来る日が来るなんてなぁ~!!最高だぜ!!」 「二代目に感謝ですわぁ~」 「ハハハッ!!これでこのシマは南雲組のもんだ!!」 強い衝撃が走ると同時に、激しい痛みが全身に広がっていく。 呼吸がしにくい。目の前がどんどん赤く染まっていく。 痛い。 苦しい。 でも。若に無視された時の辛さに比べれば、こんなの屁でもない。 「チッ。北条の野郎笑ってやがる」 「へぇ……。流石は東田組最強の男ってことですかね秋虎さん。それとも、ただのドМってだけですか?まぁどっちにしても、それじゃあ面白くないんですよ。俺はアンタを苦しませたいんですから」 「ゴホッゴホッ。……ハッ、やってみろよクソ餓鬼」 コイツの思い通りにはさせない。 どれだけ殴られようと、蹴られようと、ナイフで刺されようとも。死ぬまで笑みを浮かべてやる。 「調子乗ってんじゃねぇ!!」 「ウッ!!ぐっ……ふ、ふっ、ははっ!!俺はテメェ等なんぞ怖くもねぇし、苦しくもねぇ!!こんなのは慣れてんだよ!!ハハハッ!!」 「チッ。コイツ……」 「柊涼夏!!俺が憎いのなら、さっさと殺してしまうのが一番楽だと思うぜ?ハハハッ!!」 血を吐きながら、俺は笑い続ける。 けど、強がってばかりもいられない。そろそろ何とかしねぇと結構ヤバい。正直意識を失わないように耐えるのが精一杯だ。 「クソッ!!テメェ等もっとだ!!もっとやれ!!さっさと北条秋虎に、死ぬより辛い苦痛を味わせてやれ!!」 ずっと挑発的な態度をとり続ける俺に、涼夏は焦りと苛立ちに汗を流しながら、爪をギリギリと噛み続けている。 この調子で、死ぬまで耐えれば俺の勝ちだ。 「オイオイなんだぁ~?手こずってんのかぁ?涼夏」 くつくつと嘲笑いながら、背後から現れた男は涼夏の肩に腕を回す。 「組長!」 その瞬間。さっきまで苛立ちに歪んでいた涼夏の顔が、まるで花開くようにパァと明るくなった。 ツーブロックの金髪ヘアーに、両耳と唇に小さなピアス。貼り付けたようにずっと変わらない薄気味の悪い笑み。そして、凶器をはらんだ目付き。 確かアイツは、昔うちの組長とやりあって負けたという南雲組組長。南雲明雷(なぐもあきら)。 「成程。俺という東田組の盾を壊した後、組長を始末しに行くって魂胆か。分かりやすいなぁ。南雲明雷」 俺の言葉に、南雲明雷はさらに口角を上げた。 「あはははは!!面白い男だなぁ北条秋虎~。まぁ確かに、お前がいない方が東田桜をやりやすい。案外間違ってないかもなぁ~」 ゆっくりと俺に近づいてしゃがみ込んだ南雲明雷は、右手で俺の頭をひっつかんで持ち上げると、痛めつけられた傷を面白そうに眺めている。 「でも、こ~んなになっても東田組の盾は壊れないのは困るなぁ~。まいったなぁ~」 俺の頭を掴む手がどんどん強くなって、締め付けられる。 「しょうがない。どんだけ殴っても壊れないなら、内側から壊すしかないな」 「あ?どういう意味……っ!?」 パッと手を放され、額が床に激突する。 だが、そんな痛みどころじゃない。 「っ!?」 南雲明雷の手が、俺のズボンのベルトとチャックを外していき。するりと中へ侵入して来たからだ。 「て、テメェ……なに、してんだ」 「いやなに。外が駄目なら中から壊すしかないだろ?ヒヒッ。だ・か・らぁ~~。今からお前を組に帰れないくらい……犯してやるよ」 「は、ははっ、冗談」 「に、見えるのか?北条秋虎さんよぉ~」 南雲明雷の手が俺のモノに触れ。ゆっくりと上下に撫で始める。 コイツ、本気だ。 「ふざけんな!!止めろッ!!」 「あははははっ!!いいねぇいいねぇその反応!!俺が見たかったのはコレだよ」 汚い笑い声を上げながら、撫でていた手で俺のをぎゅっと握ると。南雲明雷のゴツゴツした男の手の平が、立ち始める俺のを乱暴に擦り。クリクリと先端を弄りだす。 「っ!!ぅ……」 クソ気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。 若のとは全然違う。 汚くて、ただデカいだけの手が、乱暴に俺のに触れて、玩具のように触っていく。 「やめっ、ろ……」 吐き気がする。 ゾワゾワする。 嫌だ。嫌だ。嫌だ。 「っ……うっ」 「ほらほら~~我慢せずに喘いじゃえよ~~。じゃねぇと……最後までするぞ?」 クソ嫌なはずなのに。吐きそうなくらい嫌なはずなのに。 ずっと触られていると、嫌でも俺のは反応してしまう。 こんな奴に、イかされたくない。 こんな奴に、好きにされたくない。 こんな奴に、犯されたくない。 俺が……本当に触ってほしいのはーー。 俺が、本当に好きな奴はーー。 「わ、かっーー」

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