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第9話
響は慌てた。
ヌードと言えばあれだろう。
裸のことだろう。
モデルと言えばあれだろう。
ずっとそのままの格好だろう。
塚本くんの目の前で、裸で何時間もポーズをとっているなんて!
「恥ずかしいよ!」
「自宅で描くから、他の眼はないよ」
「でも!」
「だったら、美術室で描く?」
「それは勘弁!」
この条件が飲めないなら、ケロタンの件も無しだ、と冷たく言い放つ豊。
「その気になったら、放課後に俺の家へ来てよ」
それきり、読みかけの画集に目を落としてしまった。
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