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第26話

「元宮くん、ご両親はおいでかな?」 「え、お父さんとお母さん? 今、いないけど?」  豊は、そうか、と軽くうつむいたが、次の瞬間には真っ直ぐに前を向き、大きなバラの花束を差し出してきた。 「結婚してくれ、元宮くん!」 「えええええッ!」 「昨日の俺が犯した罪、とうてい償えるものじゃない! だけど、責任は取ろうと思う! 結婚しよう、元宮くん!」 「ちょ、ちょっと待ってよ!」  押し付けられたバラの花束に埋もれながら、響は絶叫していた。

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