28 / 32

第28話

「昨日は、ホントにごめん」 「もう、いいよ」  響は結局、豊を家に上げていた。  お茶を淹れ、花束をとりあえずバケツに活け、ダイニングで豊と向き合った。 「昨夜、ケロタンの映画を全部観たよ」 「全部、って……13本!?」 「児童向けとは思えない秀作もあった。感動した」 「そうだろ! 特に7作目の『ケロタンと命の樹』なんか!」 「ラストは泣けたな」 「うんうん!」  映画を観て研究して、君への罪滅ぼしのつもりもあって、ケロタンを傘に描いた、と豊は静かに語った。

ともだちにシェアしよう!