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第29話

「これで許してもらえるとは思わないけど、見てくれないか。俺の描いたケロタン」 「解った」  響は、どきどきしながら傘を開いた。  塚本くんは、どんなケロタンを描いてくれたんだろう。  作画監督の森山さんの絵柄だったら、嬉しいな。  でも塚本くんは芸術家だから、鳥獣戯画みたいなケロタンかもしれない。  傘を開いて、息をのんだ。  そこには、今にも動き出しそうな躍動感あふれるケロタンが、いくつもいくつも描かれていたのだ! 「す、ごい。すごい、すごい、すごい!」  しかも、ひとつとして同じポーズが無い。  表情も豊かで、全部違う顔つきをしているケロタンだ。  

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