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第30話

「でも……」  一番好きな『ジャンピング・勇気!』のポーズだけが無い。  しかし、曇った響の顔は、次の瞬間晴れ渡った。 「内側に描いてある!」  お茶を飲んで響の様子を見ていた豊は、にっこり微笑んだ。 「元宮くんの大好きな『ジャンピング・勇気!』は、雨に濡れない方がいいと思って」 「ありがとう、塚本くん!」 「気に入ってくれたかな」 「もちろんだよ!」  あぁ、これを差すのはもったいない。  使わずに、自分の部屋へ飾っておきたい!  そんな響の心を読んだように、豊は言った。 「ちゃんと使ってくれよ。絵が剥がれたら、また何本でも描かせてもらうから」 「マジ!?」

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