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第一章・4
秋也も気にはなっていたのだ。
華やかで派手好きな植村が、どうして俺みたいに地味な男に声をかけたのか、と。
好きだとハッキリ言われたわけでもなく、何となくまとわりつかれて何となくディナーの約束を取り付けられただけなのだ。
「何だよ。結局お前も不安なんじゃねぇか」
ちッ、と舌打ちをし、拓斗はとうとうボトルに直接口をつけ、あおり始めた。
呆れた顔でひとつため息をついた後、玲が秋也に優しい顔を向ける。
「秋也、拓斗の言う事なんか気にしちゃダメだよ。誠意を持って付き合えば、きっとうまくいくから。応援するから。ね」
「よし! 応援しよう、秋也君を!」
「拓斗、いいかげんにして! もう帰るよ!」
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