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第一章・7
四の五の言う前に、拓斗はいきなり玲に口づけた。
もがもがと暴れる玲を許さず離さずたっぷりと堪能した後、秋也の方を向いた拓斗の顔は、意外なほどに真面目くさっていた。
いや、眼が据わっている。
「まずはキスだ。秋也、やってみろ」
唐突に濃厚な口づけを見せつけられた秋也は、反論するタイミングをすっかり逃してしまっていた。
そうこうするうちに玲が立ち上がり、触れ合うほど近く秋也の元へとやってきた。
「ああなるともう、言う事きかないから」
キスだけやって納得させて帰そう、という事になった。
なったはいいが、いざ睫毛を伏せて軽く上を向く玲を見ているうちに、秋也は心臓の鼓動が速まっていくのを感じた。
肩を抱き、髪に触れ、近づけた唇からは何ともいえない良い香りがする。
きつい香水とは違う、ナチュラルな優しい匂い。
そっと口づける。
柔らかく、温かな感触は途方もなく心地よかった。
(いかん。俺も酔ってるんだ)
秋也は自分を叱責し、すぐに唇を離すよう自分の体に命令した。
だがしかし。
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