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第一章・17

「いい子だ。玲」  拓斗が掴んでいた手首を離し、その手を自由にしてくれた。  指に軽く口づけ、一本一本優しくしゃぶっていく。  疲労感からその甘い仕草にぼんやり身を任せていた玲は、秋也がそっと背後に回ったことに気付かなかった。  拓斗の舌が指と指の間をくすぐるように舐めはじめ、体が疼き始めた玲は甘い吐息をついた。  注意はすっかり拓斗の方に奪われている。 「拓斗。もう、いいから」 「いや~、これからだろ。なぁ? 秋也」  は、と気づくと、玲は後ろから秋也に抱きすくめられていた。  耳に頬を擦り付け、熱い息を吹きかけてくる。

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