25 / 256
第一章・25
「なぁ、そろそろいい時間じゃねえか?」
「だね」
拓斗と玲は軽く一杯やりながら短い言葉を交わした。
ここは秋也の部屋。
玲は一日ぐったりと寝室を占拠して、拓斗と秋也を顎で使った。
夜通し散々苛めまわされてクタクタで、体中が痛いのだ。
元凶の二人をこきつかっても、バチは当たるまい。
何とかようやく体が動くようになった玲は、拓斗とともに夕刻から出かけて行った秋也のデートの様子をいろいろと語り合った。
もう夕食は終わる頃だ。そろそろベッドにダイブしているだろう。
「あいつ、巧くやれんのかな」
「大丈夫。昨夜あれだけ練習したから」
皮肉を込めて、玲は拓斗を睨み付けた。
返事の代わりに黙ってグラスに口を付けたのは、さすがに悪かったと反省しているのか。
ともだちにシェアしよう!