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第一章・28

「なるほど、そういう事かよ」 「どういうこと!?」  もがけばもがくほど、玲を抱きしめる秋也の力は強くなっていく。  拓斗が玲の隣にゆっくり近づき、秋也と二人で挟み込むように腰かけた。 「昨夜が悦すぎた。そうだろ、秋也」 「そういう事だ」  秋也の低いささやきが背筋を走る。  玲は観念して脱力し、ソファにもたれかかった。  右の頬に秋也、左の頬に拓斗の唇が優しく触れる。 (これでも 『両手に花』 っていうのかなぁ)  そんなことをぼんやり考えながら、玲はそっと眼を閉じた。

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