28 / 256
第一章・28
「なるほど、そういう事かよ」
「どういうこと!?」
もがけばもがくほど、玲を抱きしめる秋也の力は強くなっていく。
拓斗が玲の隣にゆっくり近づき、秋也と二人で挟み込むように腰かけた。
「昨夜が悦すぎた。そうだろ、秋也」
「そういう事だ」
秋也の低いささやきが背筋を走る。
玲は観念して脱力し、ソファにもたれかかった。
右の頬に秋也、左の頬に拓斗の唇が優しく触れる。
(これでも 『両手に花』 っていうのかなぁ)
そんなことをぼんやり考えながら、玲はそっと眼を閉じた。
ともだちにシェアしよう!