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第二章 子猫ちゃん、発情

「乾杯♪」  と、グラスを合わせようとした矢先にスマホが鳴った。 「悪ぃ」   拓斗が慌てて席を立つ。  わざわざ隣の部屋に行ったところを見ると、おそらく相手は女性。  すぐに済むと思いきや、これがどうして結構長い。  そっと聞き耳を立ててみると、何やらなだめてすかしているような気配だ。    さらに数分後、ようやく電話を切って現れた彼の言葉はやはり「悪ぃ」だった。 「ちょっと、出てくるわ」  クローゼットを開いて上着を羽織る拓斗に、玲はからかうような声を投げた。 「悪いんだ~。女の子、泣かせてんだ」  気分を害した様子のない玲に、ほっと安心したような顔を向け、拓斗はいつものように軽いノリで返した。 「いや~、モテる男は辛いっていうかなんていうか」  そう言いながらも足はすでに表に向けて、一歩二歩と歩き始めている。 「今夜、帰れねえかもしんねえからよ。秋也でも呼べよ」

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