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第二章・2
「いってらっしゃい」
ひらひらと手を振る僕の顔を、ちらりとでも見ただろうか。
見たら、出かけるのをやめてくれただろうか。
そう思うほど、拓斗を見送る玲は、自分でも情けない顔をしていた。
「どうしよう。これ」
はぁ、とため息をひとつ。
テーブルには、山のように盛られた生牡蠣。
殻つきの、新鮮な牡蠣だ。
採れたての新鮮だから、と調理しようとする拓斗をわざわざ止めた牡蠣だ。
玲が牡蠣を携えてやってきたには、わけがある。
まことに言いにくいが、ここ数日体が火照ってしかたがない。
ぶっちゃけ言ってしまえば、エッチな気分を持てあましているのだ。
だからと言って、拓斗に「抱いて♪」と言うのは死ぬほど恥ずかしい。
いや、そんなこと言うくらいなら死んだ方がマシだ。
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