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第二章・3

 考え抜いたあげく思いついたのが、精力効果のある牡蠣を拓斗に食べていただく、という作戦。  向こうがムラムラしてくれればOK。  求められれば素直にその身をまかせる気でいたのだ。  それでもダメなときは……。 「こんなものまで用意したのに」  ポケットから出した粉末の薬。  催淫作用のある、いわゆる媚薬だ。  飲んで騒いで終わり~、となりそうな時には、グラスにそっと仕込んでやるつもりで持ってきた保険だった。 「独りで食べてもつまんないな」  だが牡蠣に罪はない。  玲は牡蠣をひとつ手に取ると、ナイフでその殻をこじ開けはじめた。  なかなか開かない。  やはり、少し火を通して口を開けさせた方がいいかな、と考えた時に玄関口から声がかかった。

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