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第二章・5
「おいしい?」
「ああ、うまい」
玲は、どきどきしてきた。
牡蠣を食べた秋也は、僕にムラムラしてきたりするのかな。
だが秋也は、もくもくと殻を開けたと同じように、もくもくと牡蠣をすするだけだ。
普段から理性の塊のような男だ。
牡蠣程度では欲情しないのかもしれない。
玲は、そっとポケットに手を忍ばせると媚薬の袋に触れた。
どうしよう。
もともと拓斗と一緒に、と思っていた夜である。
拓斗がダメになったから代わりに秋也と、というのはあまりにも不誠実ではなかろうか。
そんな事、秋也に対して申し訳ない。
申し訳ないが。
手にあふれた牡蠣のつゆを舐めとる秋也の舌を見ているうちに、玲は我慢ができなくなってきた。
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