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第二章・7
(飲んじゃった)
いや、飲んじゃったではなく、飲ませちゃっただろう。
ふう、と一息つき、秋也はグラスを差し出した。
「うまい。もう一杯くれないか」
「あ、うん」
牡蠣を開け、グラスを傾け、牡蠣を食う。
そんな秋也の様子を玲は胸を高鳴らせながら観察していたが、一向に誘ってくるような気配は無い。
諦めかけたとき、秋也が動いた。
「暑いな」
上着を脱ぎ、袖をまくり、氷をひとつ口に入れる秋也。
心なしか、顔が赤いような気がする。
これはもしかして、効いてきたのかもしれない。
「窓、開けようか」
玲は立ち上がり、窓を大きく開いた。
夜空の星がきれいだ。
そのまましばらくぼんやり空を眺めていると、秋也が傍によって来た。
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