44 / 256

第二章・16

「?」  秋也の舌は、玲の咥内からすっと引いていった。  間をおいて、再び先ほどと同じようにゆっくりといじめにかかる。  しかし、何度やっても玲が舌を差し出した瞬間に、秋也はまるでおあずけのように逃げるのだ。 「秋也」  たまらなくなって物欲しげな声をあげた玲に、秋也ではなく拓斗が応えた。 「欲しいか? 玲。だったら言えよ。何があったんだ?」    いやいやをするようにかぶりを振った玲だったが、今度はその首筋に秋也が口づけてきた。  敏感なラインを何度何度も舌先で往復し、昂ぶらせてくる。  身を震わせた玲の耳を食み、熱い息を吹きかける。  眼を固く閉じ、唇を噛んで一生懸命耐えるが熱は上がっていく一方だ。 「ん、んんっ」 「強情なヤツだな」  呆れた声をあげた拓斗だったが、そう声をかけてぎょっとした。  玲をやんわりといじめていたはずの秋也が、はぁはぁと急いた呼吸で強く嬲り始めているのだ。

ともだちにシェアしよう!