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第二章・17
「おい、秋也!?」
「すまん。ちょっと一回。とりあえず一回だけいいか? 我慢できん」
この秋也の乱れようはあまりに異常だ。
拓斗はようやく思い当たった。
「秋也、お前ひょっとして一服盛られたな!?」
「何ッ!?」
「ごめんなさいッ!」
玲はたまらず両手で顔を覆った。
ああ、死ぬほど恥ずかしい。
薬まで使って拓斗を、秋也を求めようとするなんて。
秋也は気が抜けたように玲の髪をくしゃりとつかみ、拓斗は大きな溜息をついた。
なんてこった、と拓斗は煙草に火をつけた。
大量の牡蠣を持ち込んだのは、そういう事だったのか。
そういえば、やたらとそわそわしてたっけ、と思い返して納得した。
ようするに、今夜の玲は最初っからソノ気だったのだ。
これに気付いてやれなかったとは、うかつだった。
「ソレならそうとハッキリ言えばいいのによ」
だが恥ずかしがり屋の玲が、面と向かってそんな事を言えるはずもない。
解かっていながらちょっと意地悪だな、と自覚しつつ煙をふぅと玲に吹きかけた。
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