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第二章・32

「おい」  拓斗は、寝台に突っ伏して寝ている玲に声をかけた。  返事がない。  秋也が寝室に入ってきた。 「どうだ?」 「だめ」  拓斗は両手をクロスさせて×印を作った。  朝まで乱交に耽り、体を洗う名目で風呂場へ連れ出したところで再びふたりがかりで激しく犯した。  シーツを変え、服を着替え、さっぱりとしたのはどうやら二人だけの話らしく、玲といえば食事もとらずに寝台を占拠してもくもくと寝ている。  いや、寝たふりをして拗ねている。 「なぁ、いいかげん機嫌なおせよ」  寝具を目深にかぶった玲の顔を覗き込んだが、くるりと寝返りを打って反対側を向いてしまった。 「お前だって充分楽しんだろ? いじけるのはお門違いってとこだぜ」 「うるさい!」  がばと跳ね起きて、玲は拓斗を睨み付けた。 「あんな、あんなこと……」  勢いが良かったのは最初だけで、後はもう顔を真っ赤にして枕を抱いて顔を埋めてしまった。

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