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第二章・32

 昨夜自分がやったこと、口走ったこと。  思い出すだけでも、恥ずかしくて死にそうになる。  いや、いっそ死んでしまった方がマシかもしれない。  ううぅ、と玲はうめいた。  もうこの二人に顔向けできない。 「いや、だけど昨夜のお前は相当悦かったぞ。たまにはあんなお前も悪くない」  秋也が、慰めにならない褒め言葉を言っている。 「新しい自分、発見できたろ」  拓斗が、わけのわからない前向きな事を言っている。  まったくもって、二人とも身勝手だ。  いや、でも、身勝手と言えば元々自分が一番身勝手だったのだ。  拓斗がダメなら秋也、牡蠣がダメなら媚薬。  認めたくはないが、これはおそらく天罰。  そして、そこには全く触れてこないところが二人の優しさだ。  だから、この二人が好きなのだ。嫌いになれないのだ。

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