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第二章・33
「……行きたい」
「何?」
「どこか、お洒落なお店に行きたい。綺麗で美味しいカクテルが飲めるような、お店」
拓斗と秋也は安堵のため息をついた。
どうやら交換条件で許してくれるらしい。
「おぅ、落ち着いた雰囲気の良い店知ってるぜ」
「それはいい。さっそく今夜出かけるか」
玲は、枕の陰からそっと二人を眺めた。
ホッとした顔で、店に予約を入れるべくスマホを取り出す拓斗。
なだめるように、優しく髪をなでてくる秋也。
好き。
大好き。
でも、最後に注文するカクテルはブルームーン。
意味は『今夜はおあずけ』。
それくらいの仕返しは、してもいいだろう。
玲はようやく枕から顔を離して笑顔になった。
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