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第三章・3

 信じられない。  玲は呆然とその背中を見送った。  僕の誕生日なのに!   僕の誕生日なのに、別の女とデートだなんて!  ショックだった。  頭の中に渦巻くのは、もう拓斗は僕のことなんか愛してないんだ、という絶望感。  もともと同性愛者ではない男だ。  大勢ガールフレンドを抱えていることは、以前から承知していた。  やっぱり僕より、女性への愛の方が深いに違いない。

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