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第三章・8

 玲の返事に、男はすぐさま口づけてきた。  まるで、以前から恋仲だったかのような、濃厚なキス。  体が震える。腰がくだけてくる。 「んっ。ぅんん、ふぅ……」 「かわいいね」  ちゅっちゅっと濡れた音を立て、たっぷりと玲の唇を、舌を味わった後、男はその腰を抱いて立ち上がった。 「ホテル、行こうか」  誘われるまま、タクシーに乗った。  男は車内でもはばからず玲の体を撫で回し、時にはキスまで迫ってきた。  バックミラーから、運転手の視線がちらちらと注がれている。  さっき知りあったばかりの男に、しかも第三者に見られながら体をいじられる倒錯的な快感に玲は震え、ホテルに着いた頃にはすっかりのぼせあがっていた。

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