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第三章・9
ホテルは星の付いているような立派なもので、彼はお金持ちなんだろうな、と玲は考えた。
そして、初めての相手にそんな贅沢を振舞う気前のよさもスマートで、男のなれなれしさ、ずうずうしさをすっかりカバーしてしまっていた。
「シャワー、先に使っていいよ」
そんな気配りも素敵で、湯を使いながら玲の沈んだ心はどんどんバラ色に染め上げられ、ベッドにもぐって彼を待つ間中、胸がどきどきと高鳴っていた。
「お待たせ」
隣に、男が滑り込んでくる。
しっかりと体を抱きしめられ、熱いキスを交わした。
あぁ、この人が僕の新しい恋人。
身も心もささげる準備をして、玲は口づけに応えた。
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