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第三章・15

 嘘をついた。  悦かったのは男の方だけで、結局自分は一度もイッてはいないのだ。  でも、玲は男の背中に腕を回して頬を擦り付けた。  慣れなきゃ、と思った。  これが、彼のセックス。  これから長い付き合いになるのだ。  早く慣れて、お互い幸せにならなきゃ、と考えながら眠りに落ちた。  明け方、ふと目を覚ました。  隣に寝ているであろう彼の胸を探す。  これがいいのだ。  激しいセックスの後の安らぎ。  愛しい人と抱き合って眠る甘いひとときが、玲は好きだった。  だがしかし。

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