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第三章・17

 マンションへ戻ると、寝室へ駆け込みベッドに臥せってしくしくどころか、わんわん泣いた。  泣いて泣いて、寝室のドアが開かれたことにも気づかないくらい、わんわん泣いていた。 「どうした!?」  突然かけられた声に、ぎょっとして顔を上げると、そこには拓斗と秋也の二人が。 「う……」  あぁ、今すぐ彼らの腕に飛び込んでしまいたい。  そして思いきり泣いて忘れてしまいたい。  でもでも、愛しい彼らはもう知らない誰かのものなのだ。 「何でもない! 出てって!」 「何でもあるだろ!? 何だってそんなに泣いてやがる!?」 「何でもないったら! ウワァァァン!ヽ(`Д´)ノ」  やれやれ、とベッドに腰掛け、拓斗が暴れる玲を抱きしめてきた。 「泣くな。せっかくの誕生日が台無しだろ? ん?」 「誕生日はもう終わったもん! 拓斗も秋也も、僕の誕生日なんてすっかり忘れてたくせに!」

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