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第三章・18

「……玲。今日は何日だ」  やたら冷静な秋也の声に、玲はぐすぐすとすすり上げながら答えた。 「昨日が10日だったから、今日は11日」  バッカ、と拓斗が秋也の髪をくしゃりとつかんだ。 「一日勘違いしてやがったな。今日が10日だ」 「え?」 「お前の誕生日を、俺たちが忘れるわけなかろう」 「……」  何ということを!  すべてが玲の一人相撲だったのだ。  ばつが悪くなった玲は、それでもとがらせた口のまま、ぶつぶつと不平を言った。

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