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第三章・35
ぱあん! とクラッカーの明るい音が弾け、玲は眼をぱちぱちさせた。
上から、ゆっくりと紙吹雪やらカラーテープやらが降ってくる。
「誕生日おめでとう、玲!」
「おめでとう」
もう帰ったと思っていた拓斗と秋也が、クラッカーを手に笑っている。
「ちゃんとパーティーの準備はしてあるからな」
「とりあえず、シャワーを浴びて服を着ろ」
胸に、熱いものがこみあげてくる。視界が、涙でぼやけてくる。
「ありがとう」
しくしくと泣き出した玲の頭を軽く叩いて、拓斗は笑った。
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