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第四章・3
押し付けだとぅ!? 人の好意を何だと思ってやがる。
こいつ、いつもそんな気持ちで俺の料理を食ってやがったのか!?
「玲はリゾットの方が好きなんだよ。はい、決まり!」
「尋ねたことはあるのか。勝手に決めるな!」
「こないだ、美味い美味いって食ってたじゃねえか!」
「お世辞かもしれんだろう。勝手に決めるな!」
ぎりり、と歯ぎしりをして、拓斗はアサリのかごを秋也にぐいと押し付けた。
ずかずかと、その場を後にする。
正直アサリを投げつけてやりたい気持ちだったが、食材を粗末にすることはさすがにためらわれた。
そう、ここまではそれくらいの理性は働いた。
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