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第四章・4

 しばらく歩きまわってみても気分は晴れなかったので、拓斗は玲の顔を拝みに行くことにした。  あいつをからかって遊ぶと、楽しいのだ。  そうやっていれば、大抵の不機嫌はいつのまにかおさまる。  せっせと花壇の手入れをしている玲の姿を見つけ、拓斗はにんまりと笑った。 「よぅ、精が出るな」 「拓斗」  玲は雑草を抜く手を休めると、にっこりと笑った。  いい笑顔だ。  だが、今は笑顔だけではものたりない。  ちょいといじめてやりたいのだ。

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