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第四章・7

 とりあえず、一番手っ取り早い方から片付けるか。  そう考え、きびすを返した。  まだ玲はあそこにいるだろう。  さっきは悪かったな、とか何とか言って草むしりを手伝えば、それが終わるころにはまた笑顔を取り戻すだろう。 「全く世話やかせやがって」  原因である自分を棚に上げ、拓斗は花壇へと向かった。  思った通り花壇に玲の姿はあったが、拓斗はさっと木陰に身を隠した。  秋也の野郎が傍にいるのだ。  邪魔なんだよ、てめえ。さっさとどっか行きやがれ。  心の中で毒づく拓斗をおいて、二人は何やら話し込んでいるようだった。 「いろんな花の手入れをしているんだな」 「うん。この花はね、特に好き」 「花が咲いていないと解らないな。何だ、それは」 「忘れな草」

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