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第四章・8
ワスレナグサか、と秋也はかがんですっかり花の終わった苗を見た。
その花なら知っている。
花言葉と見事にシンクロした名を持つその草花は、植物に疎い秋也でも記憶にとどめることは難しくなかった。
「花言葉はたしか、私を忘れないでください、だったな」
知ってるんだ、と玲は微笑んだ。
秋也の口から花言葉がでてくるなんて。
今の玲には、心を癒す優しい出来事だった。
「ねえ、秋也。秋也は、もし僕がいなくなっても忘れないでいてくれる?」
「何を突然。どうかしたのか」
「ふふ。そのうち秋也はきっと、かわいくて気立てのいい女の子と一緒になるよね」
秋也の問いには答えず、玲はただ淡々と自分の思いを紡いでいった。
「子どもは男の子と女の子がひとりずつ。男の子は、きっと厳しく育てるよね。でも、女の子にはすごく甘そう」
「玲?」
「そしてね、絶対ほかの男にはやらん! なんて言ってそう」
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