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第四章・10
口づけながら玲の体を優しくさすり、秋也はその胸元をゆるめた。
肌に触れようと、手を滑らせる。
腹立たしい気分を持て余していたのは秋也も同じで、怒りのやり場を探していた。
そのはけ口、といってはあんまりだが、玲の体を抱いていると安らいでくるのは事実だ。
心に火がともる。
手を深く忍び込ませ、指先で小さな尖りをくるりと転がした。
「秋也、だめ」
とたんに玲は身をよじらせ、秋也から離れた。
そうなのだ。玲は決して屋外で体を許さない。
秘め事は必ず、誰かに見られる心配のない屋内と決まっている。
それも、ソファかベッドの上。
屋外の、しかも草の上でその身を開きはしないだろう。
だが、心の、体の昂ぶりはおさまりそうにない。
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