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第四章・11
「今夜、部屋に行ってもいいか」
「ごめん。明日は早朝勤務だから、今夜は早く休まないと」
「そうか。それでは駄目だな」
ごめん、と繰り返すと、玲はすばやく秋也の頬にキスをして走り去って行った。
残念だ。心の底から残念だ。
だが、無理強いはできない。
ついさっき、優しいと言ってもらったばかりじゃあないか。
ここはひとつ、その優しさでもって我慢しなきゃいけない。
大きく息をつくと、秋也は立ち上がった。
早出ではないが、自分も明日は玲と同じく室内で事務処理だ。
業務に支障をきたすようなまねはできない。
指先のかわいい感触がなかなか消えずに悶々としたが、そのまま何の変哲もなく夜を迎えた。
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