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第四章・14
明日の資料を整理しながら、秋也は数枚の書類を手にして考えた。
(これは朝一番で玲に目を通してもらっておいて、俺が勤務についてすぐ話し合った方がよさそうだな)
その方が、早く済む。
遅くまで残業などしたくはなかった。
明日の夜は、二人でゆっくり過ごしたいのだ。
書類を手に、秋也は同じマンションの玲の階へとエレベーターを昇らせた
玲、さっきはなんだか様子がおかしかった。
話を聞いてあげようか。
何か辛いことがあったというなら、慰めてやろう。
『秋也はやっぱり優しいね』
玲の言葉が頭をよぎった。
そう、俺は玲に優しいと思われているのだ。
ことさら優しくしているつもりはないが、荒っぽい拓斗に比べると、柔らかい印象を受けるのだろう。
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