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第四章・21
翌朝、執務室にはちゃんと玲の姿があった。
背筋を伸ばし、パソコンを覗いていた玲は、秋也を見ると笑顔で声をかけてきた。
「おはよう、秋也」
「……ああ」
傍らのカップには、コーヒーが入れてある。
玲は、勤務中はノンカフェインのハーブティーを飲むはずだ。
それが、今朝はいかにも眼のさめそうなエスプレッソ。
眠気覚ましが必要なくらい、昨夜は遅くまで起きていたというのか。
拓斗と一緒に!
席につくと、いやでも斜め向かいの玲が眼に入る。
思いが募り、仕事は全く手につかない。
昨晩の、甘い喘ぎが耳によみがえってくる。
あろうことか、下肢が硬く張りつめだした。
「堀くん、ちょっといい?」
玲の呼ぶ声に、隣の堀が立ち上がった。
思わず眼で追ってしまう。
二言三言でその内容はうかがえた。
どうやら、祭事のタイムスケジュールで時間の合わない部分があるらしい。
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