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第四章・24
「秋也。秋也、やめて。勤務中だよ!?」
玲に応じず、秋也はシャツをぐいと引き下げ、白い肩があらわになった。
これは本気だ、と恐れた玲は、小さな悲鳴を上げた。
「やめて、秋也。こんなところで! 誰かに見られたら!」
「見たいやつには、見せつけてやればいいだろう!」
あぁ、秋也。
一体どうしちゃったんだろう。昨日はやめてくれたのに。
いつもは優しい人なのに。
「やめて、秋也! どうしたの? 一体、どうしたの!?」
「どうもしない。ただな、俺は優しくなんかないぞ。欲しい時は奪う。それだけだ!」
はだけられた白い肩に、うっすらと歯型の痕を見つけ秋也の頭に血が上った。
拓斗のやつ!
その痕を打ち消してしまう勢いで、秋也は激しく玲の肩に歯を立てた。
「いやあ!」
書庫の冷たい空気が、どんどん熱くなってゆく。
しんとした紙の香りが、牡の匂いに浸食されてゆく。
玲は、とうとう埃っぽい書庫の床に押し倒されてしまった。
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