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第四章・32

「どうしたの、守岡。遅かったじゃん」 「ごめんなさい、堀くん。ちょっと気分が悪いから、早退していい?」  それは大変。医療所で見て貰いなよ、などという堀の陰に隠れて、玲の姿が見えない。  秋也が立ち上がると同時に、ドアは閉じられた。 「守岡、具合が悪いから帰るってさ」 「……そうか」  そう仕向けたのは、自分なのだ。  後悔の波が、ひたひたと胸を浸し始めた。

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