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第四章・34

 一体どうして、揃いも揃ってそんな酷いことを。  男二人は昨日からの苛立ちと、そこに至るまでのいきさつを打ち明けあった。  馬鹿な事をした、と後悔する気持ちは同じだったので、二人で医療所へと向かい玲に面会を申し出た。 「守岡 玲なら、面会謝絶だよ」  仁王立ちした女医の福田にそう告げられ、拓斗と秋也は青ざめた。  そんなに重篤なのか。  怪我や病気ってわけじゃあないんだけどね、と福田は声をひそめた。 「あんたたちだから言うけど、どうやらあの子はレイプされたみたいなんだよ」  目は虚ろで、ふらふらしながら現れてね。あたしゃ、すぐにピンときたね。  腰に手を当て、福田は憤慨した声を上げた。 「止めないよ。あんたたち、犯人を見つけ出してお仕置きしてやんな」  二人は肩をすくめた。  まさに犯人が、ここに雁首そろえて立っているのだ。 「体中に、歯型まで残ってるんだよ」 「そっ、そうか。そいつぁ酷いな」 「散々泣いたみたいだね。眼が赤くなってたし」 「そっ、そうか。それは可哀想に」

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