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第四章・35

 福田は、いきなり手にしたファイルで二人の頭を殴りつけた。 「クソガキども! 空より広く海より深く反省しな! 地に頭を擦りつけ、守岡に許しを請いな! この、すっとこどっこい!」  拓斗と秋也は飛び上がると、ばたばたと駆けだした。  福田にはお見通しだった。  あの二人になら、泣き叫びながらでも許す玲なのだから。  そして今回も、やはりあの馬鹿どものやった事を許すのだろう。  荒い鼻息をひとつつくと、福田は勤務に戻った。  福田の言葉通り、拓斗と秋也は土下座して玲に詫びをいれた。 「もういいから、顔をあげて」 「許してくれるか」 「うん……。でも、どうして二人は喧嘩なんかしたのさ?」 「俺たちの喧嘩?」 「そう。もとはと言えば、喧嘩が原因なんでしょう。何があったのかな?」  それは、と真に言いにくそうに告げられた答えに、玲の顔はみるみる情けないものになった。

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