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第四章・36

 料理をリゾットにするかパエリアにするか。  そんな些細なことが発端で、こんなに酷い目に遭うことになったのか、僕は。  ここで簡単に許してしまうと、今後また同じような羽目に陥りそうで怖かった。  ひとつ、懲らしめてやらねばなるまい。  玲は眼を閉じた。  静かだ。  付近には、全く人気がなかった。 「許してあげる。でも、これから5分間、一言もしゃべってはいけません。僕に触れてもいけません。もし破ったら、もう一生口きいてやんない。いい?」 「?」  そんな容易いこと。  しかし、奇妙な条件だ。  一体、玲は何を考えているのか。  疑問をよそに、玲は半身を起しベッドの背もたれに身を任せた。  そして二人の方を向くと、突然スイッチが入ったように妖艶な流し眼をくれた。

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